実質2日のスペイン滞在 (Part-1)

15281877_10210451435697429_397063193_n_rもうすでに2週間も前の話。ちょっと前にブログでも書いたスペイン、サラゴサでの展覧会、”Algo más que realismo…X” – 2016にワケあって突然行くことになった。いろんな仕事の合間を縫っての強行軍。日曜の夜に成田を発って木曜夕方のカルチャーセンターまでには戻ってくると言う、かなり無茶なスケジュールだった。現地スペインには月曜の昼過ぎに到着、水曜の昼過ぎに発ったので、実質2日間の滞在だった。その間にやったことと言えば、マドリード周辺の3人の画家のアトリエ訪問、電車で1時間以上の距離にあるサラゴサの展覧会場を訪れ、その足でさらに2時間近い距離のバルセロナへ。もう一人の画家のアトリエ訪問と、スペインの写実絵画の美術館、MEAM美術館見学・・・。めまぐるしいにも程がある・・・といいたくなるような濃すぎる二日間だった。

今回訪れた4人の画家達は皆facebook上で知り合った人ばかり。実際彼らスペインの画家達がどんな環境でどんな風に制作しているのか興味があった。img_3203_r

マドリードから高速に乗ると、程なく田園地帯が広がり始める。1年間住んでいたフランスの風景ともずいぶん違う。一面に広がる乾燥した大地。11月も半ば過ぎだからか、緑は少ない。赤茶けたの大地に、色が濃く背の低い木々が群れるではなく転々と広がっている・・・そんなイメージ。1時間以上も走った郊外。Antonio Castelló Avilleiraのアトリエはこぢんまりとした静かな町にあった。白い壁、すっきりとしてセンスのいい調度品。日本にありがちな、小物であふれかえった家とは対照的な、素朴でシンプルな印象の家だ。家の裏手には半屋外のガレージのような作業場があって、そこには作りかけの手製パレットがいくつもおかれており、階段を上った2階には大きな窓から光が降り注ぐ広いアトリエがある。彼の作品はフォトリアリスティックな作風だが、丹念に描き込まれ何層にも塗り重ねられたグレーズによって現実以上の豊かな色彩を感じる。作業台にはパリでも画材店で見かけた絵具、Old Hollandが無造作に散らばっていた。日本ではほとんど見かけないのだが、かなり高価な絵具。とても素朴でゆったりとした彼の人柄と、彼のアトリエはとてもマッチしている。・・・そんな風に感じた。

打って変わってマドリードのアートチャ駅からそれほど離れていないマドリードの町中。重厚な建物の1階にArantzazu Martinezのアトリエはある。扉を入るとやや薄暗い小部屋。その奥のちょっとした迷路のような空間を抜けた奥に現在彼女が制作中の作品が置かれている。小鳥のようにとても快活に話す都会的な印象の画家。重厚な建物の高い天井にはモデル台の上にかなり強めのライトが取り付けられていて、ちょうどライトとモデル台の間に、頭上を覆うように半透明のスクリーンが張ってある。彼女は屋外の上から降り注ぐ柔らかい自然光をアトリエで再現するために、このような工夫をしていると言う。現代ヨーロッパのリアリズム画家達を見ると、その多くがフォトリアリスティックな作風だと言っていいように思うが、彼女の場合はそれとは明らかに違うように思う。もっと伝統的な写実力を踏まえた何か・・・、それは屋外の光を屋内に再現してまで目の前のモデルを肉眼で捉えようとする姿勢にも現れている。面白いと思ったのは彼女の使うパレット。長辺が30cmもあるかないかのびっくりするほど小さなものだった。100号を超える大作もこれで描くらしい。以前読んだ文献で、レンブラントのパレットはとても小さいものだったという記事があったのをちょっと思い出した。

さて、さらにそこから車で20分ほど離れたところにもう一人の画家Sergio Martinezのアトリエがあった。前述した二人とはまた全く違う雰囲気の画家。その風貌からして一癖ある。一言で言えば”伊達男“。迎えてくれた家族達も皆どこか同じ香りが漂うような・・・。そんな彼のアトリエもまた、非常に現代的なものだった。どこかの撮影スタジオのような雰囲気とでも言うのだろうか。高い天井には舞台照明のような照明設備。置かれた調度品も華やかだ。彼の作品はキャンバス地がところどころそのまま見えるほど非常に薄塗りで、抑えが効いた明るい色彩を用いた画面は一見フレスコ画を想起させる。描かれた人物はどこか舞台上でドラマを演じる役者のように、見るものを意識しているようだ。実際彼のアトリエにはいかにも舞台で使われそうなコスチュームがいくつか置かれていて、そんな衣装を着たモデルからちょっとしたストーリーが生まれ、そこから着想して大作にまでイメージを広げるような制作過程をとることもあるらしい。アトリエの片隅に面白いものを見つけた。いくつもの紙パレットが壁に並べて貼られている。たぶん大作を描く際にその日に作った微妙な肌色のトーンなど、次の日の作業のために色見本として保存するためだろう。繊細な色使いをする画家ならではの工夫と言えるかも知れない。

昼過ぎにマドリードについてすでに夜。慌ただしい半日が終わった。・・・長くなるので今日はこれまで。続きはまた数日後。

0 Comments

  1. Roberto Melo
    2016-12-09

    Simples, Mestre Osamu!! É maravilhoso!!! obrigado por compartilhar!!

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