肉体労働

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ここ2日間くらい、本業の絵とは関係ないところで忙しく働く羽目になっていた。…庭仕事。都会を離れて自然に囲まれた場所に住んでいるというのは素晴らしいことだが、だんだん身に染みてくるのは管理するのは大変だ!ということ。特に冬の間にやっとかなきゃいけないことが山ほどある。年末年始の屋根の落ち葉落としhttp://www.osamu-obi.com/blog/2015/01/post-301.htmlや焚火http://www.osamu-obi.com/blog/2014/12/post-297.htmlについてはもう何度もブログに書いた。それにもまして大仕事なのは木の枝の剪定作業。ほっとくと年々大きくなり、数年でジャングルみたいになってしまう。何年か手を付けないまま伸び放題にすれば、もう自分の力では登って切ることもできないほどになるので、そうなったら植木職人に頼まなければならなくなる。実際ここ何年かは年に1度頼んでいる木が何本かある。さらに伸ばしてしまうと、今度は一般の庭師でも扱えなく、クレーンを使って作業する”空師”と呼ばれる業者に頼まなければならなくなり、もう、いくらかかるかわからない。

そんなわけでこれは趣味の域を超えて必要に迫られてやらなきゃならない仕事というわけだ。さらに今年はそれに加えてもう一つ問題が起こっていた。このブログを読んでくれている人の中に浄化槽と聞いて、身近に感じる人がどれくらいいるだろう。うちのあたりは市街化調整区域。住宅地ではない。それで、近所には下水の来ていない家も多く、そういう家は全て浄化槽を使っている。浄化槽というのはいわゆる汲み取り式トイレとは違って、ためて汲み取るだけではない。下水がないので生活に使う水のすべてはどこかに流さなくてはならないのだが、流すべき用水路もないので、トイレに流した汚物などはいったん浄化槽で浄化し、上澄みだけを別に地面に穴を掘ってそこに浸み込ませなければならない。それが吸込槽と呼ばれるもの。しかしいったん掘った吸込槽も、いつかは目詰まりを起こす。それがついに我が家にも訪れたのだ。ここに引っ越してきて約10年たつが、初めての経験。実は吸込槽がどこにあるのかさえ知らなかった。放っておけばすぐにも水は溢れ出してしまう。そうすれば庭に汚物がまき散らかされる事態になるわけで、一刻も早く対処しなければならず、すぐに業者に依頼して新たな吸込槽を掘ってもらうことになった。重機が入っての大工事。痛い出費。そして当然今まで作り込んできた庭がいったんほじくり返されたわけだ。もちろん後はちゃんと埋め戻してくれるのだが、掘り返した庭石

IMG_1113.jpgや植えられた植物まで元通りになるわけではなく、あとは自分たちの作業となる。

一気にまとめて庭の大改造が始まった。穴を掘ったのは手作りのベンチの前。埋められた地面に、昔駐車場をつぶしたときにとってあったコンクリートの破片と、ついでに今回詰まってしまった以前の吸込槽のふたまで使ってをタイルのように並べ替え、空いた隙間を砂利で埋めて平らにする。もう5年以上前に作ったベンチは、バラやテイカカズラを絡ませていた部分が腐って崩れそうになってしまったので新たな材木で一部作り直し、うっそうと茂っていた

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テイカカズラは思い切って半分以上剪定した。バラもすっかり暴れて折れそうだったものを壁やベンチにからめ直した。

イチョウの木は3年前くらいから大量の銀杏の実をならせ始めたが、かなり大きくなりすぎたので毎年太い枝を45本くらいずつ落

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としている。てっぺんまで登りながら今回も5本ほど切り落とした。そのほかにも根元からバッサリ切り倒した木が56本、枝を落とした木は10本以上。根っこから掘り起こした木が1本。これまではほとんどすべて木の剪定は私の役割だったが、今年は妻がその半分くらいをやってくれた。おかげでかなり見た目にすっきりしたが、実は本当に大変なのは枝を切ることよりも、切り落とした枝を片付けることの方。庭いっぱいに広がった切られた木々。適当な長さに切って一か所に積み上げるのは気が遠くなる作業だ。解決策の一つは、庭づくりに有効利用すること。全部積み上げれば邪魔者になるが、庭で花壇の縁取りや柵に使ったり、畑でキュウリやインゲンや、つる性植物を絡ませる手として使ってしまえばごみを減らして景観づくりにもなる。無駄な出費もなくなると言ういいとこ尽くめ。さて、今回はどうしようか。

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…思いついたこと。一つは太めの枝を使ってブランコでも作ろうか。これは太めの枝、1本しか使えない。もう一つ。子供のための小

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屋作り。これは去年のうちから娘が友達と言ってたことで、秘密基地を作りたいと設計図まで描いていた。そして秘密基地の割には一番目立つ庭の真ん中に友達と毎日穴まで掘り始めていた。1年生のやることだからたかが知れていると思って見ていたが、数日のうちには340センチにもなる巨大な穴に成長して、もう「こいつ、吸込槽でも作るつもりか?」などと言っていた。邪魔くさくて仕方なかったのだが、本人のなかでは、ここがベランダとか、ここが玄関とか、こだわりがあるらしく、穴を埋め戻そうなどと言ったらかみつかれそうな勢いだっ

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た。「よし、じゃあ、この際、そこに小屋を作っちゃえ」ということでちょうど切ったばかりの4本のまっすぐなイチョウの枝を柱にして使えそうな枝をそこに絡めて形を作っていく。骨格ができたらサザンカやらハランやら、常緑の葉や枝を使ってなん

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となく壁らしいものを作った。ここの”ミソ”は、一切ひもで縛ったり釘でとめたりしないこと。そんなことするお金がもったいないのと、ゴミが出て、あとが大

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変。あるものだけで何とかするのが一番楽だということを10年間でしっかり学んでいるのだ。枝を編むようにしてからめればけっこう頑丈になる。そんな”宮大工”並みの技術で2時間ほどで仕上げられた秘密基地。今朝、娘は自分で椅子やら机やら、台所を作って充分に楽しんでいた。昼ごはんは一人、秘密基地内で食べるという気に入りよう。作った甲斐があるというものだ。

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私がそんなふうに基地づくりで子供と遊んでいる間に、妻の方はゴミだらけの倉庫の整理をすっかり終え、さらに太い木の枝をスライスしたものを使って装飾品を作っていた。やっぱりね。きつい仕事のなかにも遊びは必要ですよ。こんな時、美術やっててよかったって思っちゃうなあ。

…そんなわけですっかりくたびれて今日はとても絵なんて描けそうにない。ブログでも書いたら寝ることにしよう。ま

IMG_1155.jpgだまだ処理しなければならない木の枝が庭に山盛りになっていることは、とりあえずまた後で考えよう…。ああ、絵、描かなきゃなあ。

2件のコメント

  1. 相澤 おさむ
    2015-03-01

    偶然でしたが私も自宅周りの木の剪定伐採を2週間前から始めてまして伐採剪定だけであれば未だいいのですが、かたづけがこりゃまた大変です。私は近くの人に薪として差し上げております。小尾さんも冬場の暖房に使ってみては如何でしょうか小枝は細かく裁断するシュレッダーの様な物がホームセンターで色々販売されておりますので、、でも見てるとみんな欲しくなりますのでご注意くださいませ。

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  2. 小尾修
    2015-03-01

    そうですか。実際うちの近所にはつい最近までそんなふうにしてマキで風呂を沸かしているうちもありましたよ。でも薪を割って使えるようにするのはまた結構な手間ですね。絵が描けなくなっちゃいそうです。

    返信

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