黒板ジャックその2 お披露目

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前日遅くまで描いた黒板の絵。いよいよお披露目となる。いくらびっくりイベントだと言ってもここは学校。普段通りちゃんと授業は始まる。つまり、教室の落書きは落書きとして消されなければならない運命というわけ。子供たちが登校して授業が始まるまでのたった1時間にも満たない”超”がつく短い展覧会だ。

朝の会が始まるのは8時半過ぎくらい、その前に子供たちの反応を観ようと8時ちょっと前に学校についたのだが、すでに騒ぎは始まっていた。今回はテレビの取材が入るということで各家庭には事前にムサビの学生たちが授業をやり、それをテレビが取材に来ることだけは伝えなければならなかったものの、それが黒板ジャックだということはもちろん子供達には秘密にしてある。一部情報は漏れていたかも知らないが、ほとんどの子供たちは何も知らないまま登校してきている。教室に入って黒板いっぱいに描かれた落書きを見た子供達はさぞ驚いたことだろう。それぞれの教室にお知らせでも貼ってあったのか、あっちの教室こっちの教室を行ったり来たりしては歓声を上げている。

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「しめしめ」という感じ。自分の描いた黒板の教室は生徒たちの共有スペースみたいなところだったため、出入りもしやすくひっきりなしに子供たちが出入りしていた。最初に私が自分の絵を描いた教室に入った時にいた子供の第一声は、「うわっ、きもちわるっ!」だった。

その後も次々入ってくる子供たちの代表的な反応は、廊下から

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「すごー

い!なんだこれ!」の声とともに数人で入ってきてそのまま画面ぎりぎりまで近づき、向かって左目を指さして「映ってる!」と、画面に触りそうになって先生に怒

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られる。しばらくすると誰かが左のはり紙に気づいて読もうとするが、紙が貼ってあると思ったものが実は描かれたものだと気づいて「あれ?この紙描いてあるんだ!」「え?なになに、ホントだー!」…もう、見事なまでにこっちの思うつぼ。

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後ろに「よっしゃ!」と心の中でガッツポーズしてるおっさんがいることなど彼らは気付いていな

い。しばらくすると、今度は低学年のツアーが回ってきた。先生に引き連れられきちんと整列して入って来る子供達。一言も発することなくしずしずとはいってきた。絵の前に並んだ時、先生が口を開く。「はい、今から思ったことをしゃべってもいいですよ。」途端に一斉に叫びだす。「なにこれー!」「すごーい!」「マジか―!」「あの目ん玉が!!」先生が一言。「これは全部チョークで描いてあるんだよ」「エーッ!!!」まるでどこかで練習してきたみたいな見事な反応。たぶん担任の先生の個性がそのまま子供たちに表れているのだろう。クラスごとに生徒の反応も微妙に違う。

最後に入ってきた3年生たちを前に短く話をした。美術大学っていう毎日図工をやっている学校があるということ、この絵をどんな思いで描いたかということ、観ることの不思議について。興味を持って観察してみれば、身の回りの世界のすべては宝でいっぱいだということ。私のつたない言葉でどこまで3年生たちに伝わったかはわからない。そして本日最大のメインイベント、「この絵を消してみたい人―!!」の声に、一斉に手があがる。選びようがないのでクラスで一番背が

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高い人2人を選んだ。黒板消しは3つ、「もう一人は一番消したそうな顔をしている子!」とじっくり子供たちを観察して真ん中あたりにいた女の子に黒板消しを手渡した。「さん、に

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ー、いち、はい消して!」の掛け声で一斉に消し始める。観ている子供たちも「ワー!」とも「ギャー」ともつかぬ叫び声をあげて大盛り上がり「次は目を消して!」「上の方が残ってる!!」…なんて楽しい時間だろう。

実は当初、私の教室が共有の部屋ということで、もったいないから私のだけはしばらく残しておこうかという話があったのだが、せっかくだから一緒に消してみたいとお願いしたという経緯があった。消して正解だったと今思う。残せばしばらくみんなが見られたのかもしれないが、こうやってみんなで消したことでかえって子供たちの脳裏にはこの絵が印象深く焼きついたのではないだろうか。そんな気がする。この子たちが大人になったある日、「あの時すごい目の絵を消したよなあ。」なんて思い出してくれたら本望というもの。

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以上で黒板ジャックのイベントは終わり。その後、6年生を対象に学生たち3人が3つの教室に作品を持ち込み、子供たちが

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ツアーを組んで各教室で作品鑑賞をするという対話型授業を行った。さすがは教育学の受講生たち、ちょっと子供達には難解ともいえる作品を見せながらも上からこうだと説明を押し付けることなく子供たちの素朴な感想を引き出そうとしている姿に感心させられた。

自分が子供の頃、学校で音楽鑑賞会があったり人形劇団の公演会があったりそんな記憶はあるが、美術に関するイベントは全くといっていいほどなかったように思う。このムサビの取り組みみたいなものが子供の時に経験出来たらなあ…、と内輪の者ながら正直に思う。美術の世界が美術館に並べられた名作だけでなく、こんな身近なものだと気づいてくれる子供達が一人でも出てきてくれたら…それだけでもやった甲斐があるというものだ。

なお、今回の黒板ジャックの様子がTBSの朝の番組で放映される。220日金曜日の朝の番組「あさチャン!」だいたい740分から8時までの間の「チャン知り」という10分ほどのコ

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ーナーだそうだ。あくまでも学生たち主体の活動、私は飛び入りの味噌っかすみたいなものなので、たぶん全く画面に登場することもないと思うけど、ムサビのこんな活動、よかったらご覧ください。

後から聞いた話…。黒板にシャボン玉を描こうとチャレンジしてる子がいたってさ。ハハハ、せいぜい頑張ってみやがれ!!

1 Comment

  1. 筒井 ミヨコ
    2015-02-18

    私も長い事小学校の教師をしてましたが、今年度の3月に退職します。小学校は全科ですから図工を担当した事もありますが、こんな素敵な取り組みはもちろんありませんでした。子ども達は図工が大好きですから、きっと深く心に残った事でしょう。
     私もさっそくシャボン玉を描いてみましたが、せいぜいビー玉くらいにしか見えませんでした。黒板は線を書く物なので、面を立体的に描くのは思った以上に難しい事だと分かりました。
     さすが小尾先生お見事です。私も3年生に「アナと雪の女王」と「妖怪ウオッチ」をジャックする予定です。

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