「存在の美学」札幌展。

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 4月末に始まった展覧会「存在の美学」の最後の巡回展が先週末から札幌芸術の森美術館で始まった。先週土曜日はそのオープニングレセプションと、ギャラリートークがあったのだが、これまで何回か存在の美学に出品してはいたものの、札幌の会場に顔を出したことがなかった。今回は北海道の方々にご挨拶しようと、また、普段、どこにも連れて行ってあげていない家族たちへのガス抜き…、いや、サービスを兼ね、”思い切って”家族連れで行くことに…。

…とはいえ、いざ、格安旅行ツアーを調べてみると、すでに観光シーズンに入ったらしい北海道のツアーはどこも混んでおり、土曜の出発便は昼過ぎのものを除いてすでにほとんど満席、もしあったとしてもかなりの高値がついてしまう。「こりゃダメだ。」と諦めていたところ、前日金曜日の夕方出発の便を使えば1日宿泊を増やしたとしてもかなり安く行けることがわかり、そいつに飛びつくことにした。金曜の午後、子供達を学校から早退させ、自分は午前中の自由が丘でのカルチャーセンターの仕事を済ませてからのかなり綱渡り的な出発となった。

北海道は予想していたよりずっと涼しかった。Tシャツ姿で到着したら「ちょっと風邪引いちゃうぞ」という感じ。関東でいう4月頃の気候ということになるのだろうか。空港からレンタカーに乗り、札幌市内まで約1時間ほど。その日はそのままホテルに直行、すぐに子供たちを寝かしておしまい。

土曜日展覧会のレセプションは2時過ぎてからだったので、午前中は市内を徒歩で観光した。たまたま大通公園で「花フェスタ2014札幌」というイベントごとをやっていて、高校生たちのガーデニングコンテストやら花市場やらでにぎわっていた。屋台でいろいろ買って昼ご飯を済ませ、午後、車で展覧会場に向かう。

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札幌芸術の森美術館は市内から車で約30分ほど離れたところにある。広い敷地と自然環境に恵まれた美術館だった。車を降りるとまず最初に、どこからともなくカエルの声が耳に入ってきた。美術館内もゆったりとしていて作品を観るのに十分な天井の高さとスペースがあり、落ち着いて鑑賞することができる。今回は、東京での展示作品の他、これまで参加してきた画家たち9人の作品も加え、作品数60点を超える大規模な展示となった。私自身の作品は7点出ている。作品については野田弘志さんがピンポイントでこの作家のこの作品、と依頼して集めてきた作品ばかりなので、リアリズム絵画の展覧会全体としての質はかなり高いのではないかと感じる。

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ここに出品できてよかったと思える展覧会だった。ギャラリートークには椅子に座りきれないほどのお客さんが集まり、皆、熱心に聞いてくれていた。数えたわけではないのでわからないが、100人以上はいたのだろうか…。もしこのブログを観てくれている北海道の方がいたら、ぜひ観に行っていただきたいと思う。会期は76日(日)まで。詳しくはこちら。

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http://sapporo-art-museum.jp/ 

翌日は1日、家族のガス…いや、家族サービスに費やした。「せっかく北海道に来たんだから旭山動物園や富良野あたりの美しい風景も見てみたい…。」なんてことを簡単に考えるのだが、それを関東の距離でたとえるなら、「せっかく東京に来たんだから、長野や河口湖にも行ってみたい…」って言うのと同じようなことになっちゃうのだろう。県をまたぐとなかなかそんな発想は出てこないのだが…。でも、結局そんなことやっちゃうのは土地勘のなさの力というものか。さすがに時間的に富良野までは行けなかったが、富良野に行く途中の美瑛、そして子供たちのために旭山動物園に行くことになった。

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朝、7時頃札幌を出て、ひたすら高速を140キロメートル以上ぶっ飛ばし、そこから美瑛まで一般道を走る。窓を通り過ぎてゆく風景は明らかに関東の風景とは違う。広々とした広大な土地なのは言うまでもないのだが、何より緑が明るい。ここはまだ緑が出始めたばかりの新緑の季節らしい。街を走っていて思うのは、どこも道が広く、車が少ないこと。慣れないレンタカーを運転していても見通しがきくので運転しやすい。その代りついつい気づくとスピードを出し過ぎていたりする。

美瑛に近付くと風景はさらに日本離れしてくる。なだらかな起伏を持つ大地にひろがる畑は何となくヨーロッパを思い起こさせる。http://www.osamu-obi.com/blog/2011/04/post-81.html

そこここに見え隠れする建物も、いわゆる日本の農家のそれとは違う。いくつかの見晴らしの良いポイントを通過しながら車を走らせるが、観光客はいるものの、あまりに広いのでほとんどすれ違うこともない。ただし、観光ポイントや、食堂を見つけて車を降りると、すごい人だかりになっていたりする。

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しばらく美しい風景を楽しんだ後は、再び車で旭山動物園に向かう。「旭山動物園はいいよ。」いろんな人からそんな声を聞いていたが、実際その動物園にまつわるエピソードなど、事前の知識はほとんど持っていなかった。なんとなく北海道なので広大な土地と充実した施設で人が集まるのだろうか…、などと思っていたのだが、実際に行ってみると、その印象はずいぶん違っていた。一見した印象は「普通の動物園じゃないか。」だった。特別土地が広いという感じではなく、建物も大金をつぎ込んだ洗練された施設という印象はない。あちこちに描かれた表示や説明は手書きだったり、壁には近所の小学生たちが描いたのであろう絵が無造作に貼られていたりして、印象としてはむしろ庶民的といっていい。しかし園をまわっているうちになるほどここの人気の秘密はこんなことかということが少ずつ見えてくる。一言でいえば、非常によく工夫されているのだ。動物の生態をうまく利用しながらオリと観客という距離をなくそうという工夫。動物園ではいつもたいがい寝ているライオンやトラ、しかしどういう工夫のおかげか知らないが、そのライオンやトラがわざわざ観客の目の前で寝ていたりする。アザラシが水槽のチューブを上下に行ったり来たりする様子はこの動物園の目玉として有名だが、ペンギンやシロクマなど水を好む動物は水槽の中の様子が見られるよう工夫され、カバに至っては水槽の下から泳ぐ姿が見られたりする。全館にわたって動物の上下左右、全方向をまわって動物を観察できるような仕掛けがあり、子供たちのためにあちこちにクイズやら豆知識が隠されている。気付くと頭のすぐ上に蛇がとぐろを巻いていたりするのだ。そう、ここは広大な土地と莫大な資金力で作られた動物園ではなく、綿密な動物観察とアイデア、職員の創意工夫で成功している動物園なのだ。

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…なんで動物園について熱く語らなきゃならないのかよくわからないが、とにかくそんなこんなで閉園ぎりぎりまで子供たちとゆっくり楽しんだ。それからまた再び高速で140キロメートル走って札幌に戻り、7時を過ぎてすすき野のカレー屋でしっかり定番のスープカレーを食べ、ホテルに戻って倒れ込むように寝た。ハードな1日。これぞ日本人の家族旅行だな。

翌日は朝ゆっくり起きて、昼前に古民家風の素敵な喫茶店で、ほかにだーれもいない店内を堪能しながらくつろぎ、1時間車を走らせて空港に向かった。唯一心残りは最後にせめて空港ででも…と思っていたジンギスカンを、時間の関係で食べ

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損ねたことかな?あとはすべて完璧。大通公園、時計台、美瑛、旭山動物園、初日、空港で食べた札幌ラーメン、スープカレー…それにしてもなんとベタな観光メニューでございましょう。…ついでに言えば、お土産にしっかり冷凍ジンギスカンを買ってきてます。

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