屋根の上のおにぎり。

 

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前回の焚火に続き我が家には恒例行事がある。年に1度の屋根掃除。ほとんどの人には何のことやらわからないことかもしれないが、我が家にとってこれはなくてはならない大事な行事。我が家は一般的な住宅地にあるのではない。古い農家が多いいわゆる市街化調整区域にある。このブログを継続的に読んでいる人の中には私がとんでもない奥まったド田舎に住んでいると思っている人もいるかもしれないが、それほど大変な田舎というわけではない。もちろん横浜と比べればずっと田舎ではあるに違いないが、近所にはごく一般的な住宅地も広がっている。ただし、うちの周囲1キロメートルに限って言えば確かにかなり田舎度が高い。実際1キロメートル以内にはコンビニが1軒ある他は店らしいものが見当たらない。あるのはひたすら畑と雑木林。さらにうちの周辺100mとなると農家の竹林や防風林に囲まれて、まるでどこかの山の中みたいなちょっとした別世界感がある。始めて来る人は「トトロが出てきそう。」なんて言ったりする。うちのお隣は江戸時代からの古い農家。我が家との地境には高さ20m程度はあるだろうか、高木が立ち並んでいる。それらの木々は我が家に夏の涼しさを運んでくれるし、防風林として台風の日でも家にいると風をあまり感じないほどに我が家を守ってくれる。台風の日には大量のトンボたちが避難場所としてうちの庭に大集合するくらいだ。私がここに住もうと決めたのも、この木々を見たからだった。…しかし全てが全ていいこと尽くしというわけではない。その一つが落葉。年に2度、木々は葉を落とす。春には常緑樹が、そして秋には落葉樹。それらは当然屋根の上にも降り注ぐ。もちろん雪のように舞い落ちる風景は間違いなく美しいものなのだが、それらは雪と違って溶けてはくれない。放っておけばいくらでも降り積もる。その一部は雨どいに溜まり、さらにどんぐりやら風に舞う土埃をせき止めて、気付けば雨どいを詰まらせている。どんぐりが発芽して木が生えはじめることさえある。倉庫の屋根など傾斜が緩いところには大量の土と木の葉がこびりついて塊になってしまう。定期的に掃除しなければいつしか家を痛めてしまうことになるのだ。

 …説明が長くなってしまったが、そんなわけで今日は屋根に上ることになった。去年から息子も手伝うようになっている。息子にとっては年に1度、自分の家のてっぺんまで登って上から周りを眺めることができる、ちょっとしたイベントみたいになっているようでもある。高いところからの眺めを楽しんだ後は、二手に分かれてたまりにたまった落ち葉を掃き下ろす。一部は土

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と混じってすでに腐葉土化しているような部分もあり、中から虫が大量に出て来たりする。水を含んだような場所を掃いていると、水分で靴が滑って落ちそうになる。慌ててしゃがみこみ、そんなところは座ったまま作業を進める

羽目になる。

 午前中に終えるつもりが思った以上に時間がかかってしまい、昼過ぎてもまだまだ終わりそうになかった。気を効かせて妻がおにぎりを作って屋根の上に持ってきてくれた。息子と二人で屋根の上のお弁当。「あ!お父さん。キツツキだ。」見ると本当にキツツキらしい。手の届きそうな距離で、数羽が木の幹を行き交いながら何やら幹をつついている。ほかにもスズメやメジロ、シジュウカラたちが餌

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を求めて飛び回っている。冬の暖かな木洩れ日の中、風の音や鳥の

声に耳を傾けながら食べる弁当…なかなかいいもんだなあ…。なんだかいい大晦日過ごしちゃってるぞ。

 …そんなことを思ってられるのもそれまでだった。午後になったら間もなく息子の方はすっかり労働に飽きてしまい、もういいやと残りは自分一人で屋根に残ることに。結局ほとんど日が暮れるころまでヘロヘロになりながら働き、降りてきてからはすっかり脱力状態。今もちょっと腰が痛い。自然豊かな環境での暮らし、なかなか楽じゃないでっせ!

そんなこんなであけましておめでとうございます。

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