並木木工所の仕事

 今月22日からムサビの美術館で始まる 「武蔵野美術大学教授退任記念 斎藤國靖 「仮説」としての絵画」展については書くべきことがいろいろあるのだが、今日のところは時間がないのでまたにしておく。一応ここを見ればわかるので興味のある人はどうぞ。

http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/1497

とにかくその展覧会には私と塩谷亮君がむこうでやってきた摸写が展示されることになっている。そんなわけで今まで描きっぱなしの状態だった2枚のレンブラントに額縁をつけてやることにした。この作品はこの先も売る予定のない作品だが、長く自分のところに置いておくものとしてこの際ちゃんとした額をつけてやろうと、金欠に悩む私としては最大限に奮発していつもお願いしている並木木工所さんに依頼していた。そう、いつもは画廊の方から支払いになる額縁だが、今回は販売するわけではないので自腹なのだ。

 IMG_2365.jpg並木木工所は美術館の仕事も多く扱っており、(今はティツィアーノの額を作っている最中だという。)西洋の古典絵画に使われたような額縁の資料もたくさん持っていて、直接訪ねて話し合えば、そんな資料を参考にしながら額縁の設計から塗りの方法、仕上げに至るまですべて言ったとおりにやってくれる。今回も一応参考までにルーブルで実際レンブラントにつけられている額縁の画像を送ってみたところ、すぐに「こんな感じですか?」…というメッセージとともに、どっしりと、時間の積み重ねを感じる、表面いっぱいに彫刻を施さIMG_2364.jpgれ、金箔仕上げにされた古い額縁の画像が送られてきた。てっきり美術館で額縁の修復をした際に撮った画像だろうと思いきや、「これ、うちで作った額ですよ。」と切り返され、絶句した。…ところでそんなすごいのを頼んだらいったいいくらになるのかわからないし、自分の好みを言えば、ルーブル美術館にあるようなごてごてデコレーションが施された金箔の額よりはもっとシンプルなオランダ、ベルギーあたりの額の方がしっくりくる。http://www.osamu-obi.com/blog/2011/05/post-96.html

もともとレンブラント自身もオランダの作家だし…。ということであちらで撮ってきたベルギーの美術館の額縁の画像を持参してそれをもとにアレンジしてもらいながらデザインを決めていった。金は使うが全面ではなく、極力色もいぶした感じで、塗りの部分は赤い下地に黒に近いグレーをあまりきれいに塗るのではなく…などなど。

 そしてついに今日その額縁が出来上がってきた。午後に持ってきてもらってアトリエでセットしてもらうと、思った以上にいい出来栄えだ。なんだか急にオランダあたりの美術館にいるような気分になる。うちの2人のレンブラントも故郷の額に収まって満足してくれているんじゃないだろうか。

この作品、1022日から1117日まで、芸術祭期間を含んで、ムサビに行けばみられます。塩谷亮のボッティチェッリとダビンチも。興味のある人はご覧ください。そう、並木木工所の仕事ぶりにもご注目を。

…ところでそのお値段だが…それは秘密としておきましょうか。

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