ハトの跡(あと)

フランスのアパルトマンにいた時、朝、窓辺にハトがパンの残りを食べに来ていたことを思い出すのだが、埼玉の我が家にもハトはやってくる。公園にいるのとは違い、主にうちに来るのはキジバト。キジバトはドバトと違い集団で暮らしてはいないようで、たいがい1羽か2羽で来る。それほど人を怖がるわけでもないが、公園のドバトほどなれなれしくもない。結構好きで1度横浜のアパートに住んでいた時に窓辺にやってくるキジバトを作品にしたこともある。ところで我が家に来るハト君達はちょっとおバカというのかワイルドというのか、それともうちのある場所がワイルドなので油断するのか…、年に何回か窓の存在に気付かずに激突するやつがいる。何度かはその瞬間を目の前で目撃したこともある。迷いもせずにまっすぐ飛んできて、「バチッ!!」という音と同時にまるでマンガのように窓にべっちゃり張り付き下にずり落ちる。どうしたんだと見ていると、しばらくしてから下の方からよろよろと羽ばたき近くの枝にとまってしばし呆然とした様子のハト…。つい最近もそんなあわてんぼさんの訪問があったらしい。朝、雨戸をあけた時に初めて気づいた。まるで魚拓かレントゲン写真と見まごう程の、窓にくっきり記されたハトの痕跡。よく見ると、翼をいっぱいに広げ今まさに右に旋回しようとする瞬間がリアルに表現されている。数日前、妻はその瞬間を目撃したらしい。同じハトでもパリの窓辺のやつとはちょっと違うなあ…。

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