4日目の仕事

 基本的に3日目の延長の作業。なぜか、暗い部分の絵の具の乾きが悪い。乾きを意識してバーントアンバーを使いながら進めているのだが…。ターバンの部分を今日はかなり盛り上げた。前回ある程度のせたのだが、まだボリューム的には少し足りなかった。この部分はあまり何度ももたもたのせていては原画の勢いは出ない。1発決めかせいぜい2段階程度で切れのある筆さばきにしなくてはならないので、そのつもりでのせてみる。あとは乾いてからグレーズしながら全体感の調整をする程度。今日は顔の部分はほとんどノータッチ。衣服と背景を中心に描いた。背景と衣服の部分は一見ただ真っ黒のように見えるが特に衣服の部分などは近づいてみるとかなり複雑な色をしている。おそらくある程度下層で具体的な描き込みをしたうえで黒を重ねているのだろう。初めから省略を意図して塗られたようなフラットな塗りとはちょっと違うようだ。一見ただの黒に見えながらも空間の厚みを感じるのはそんなところからきているのかもしれない。ただ、それを完成した作品の表面からどんな形が描かれているのか推測しながら進めるのは至難の技で、やり過ぎれば説明過多の硬い絵になるし、なにもしないと無表情なのっぺりとした絵になる。難しいところだ。前回の模写より手順が見えにくい分どう進めるべきか…迷いが多く難しくもある。描き込みが少ない分、本来早く進むはずだがかえって妙なところで時間がかかってしまうようだ。マチエールについては板地に描かれたものは全体に作品のもちがよいようで保存状態が総じて良いが、キャンバス画のほうはほぼすべて全面に亀裂が入っており、キャンバスも今のものと比べて織りが均一でないのか、また、地塗りもおおざっぱなのか、縦横にすじめが大きく入っていて描画の際のマチエールの状態が見えにくい。また前にも書いたが作品の位置が高めに掛かっているので顔の部分など、近づいて見ようとすると画面が光ってよく見えない。いよいよオペラグラスを買わなければならない時が来たようだ。

余談になるが、今日、アメリカ人なのか、英語を話す女性から、この絵はいくらで売るのかと聞かれる。ムサビの遠藤彰子さんに顔も雰囲気も似ている人だったので思わずにやけてしまった。

 1時半前に仕事を終えてイーゼルと共に絵をしまいにいくとなぜか今日は係の人が来ていない。他の人たちも集まってきて、呼び出しの電話をかけるがそれでも来ない。しばらくお互いの絵を見せあいながら話して待つ。結局20分以上待たされたのだが、面白いのは誰もいらつかない。また遅れてきた係員も全くすまなそうなそぶりを見せない。良くも悪くも日本とは違う。待ちながら腹が減ったのでKay君と今日知り合ったSandrineさんと近所のパン屋でサンドイッチを買って昼食をとる。パレ・ロワイヤル庭園の噴水前に座って日向ぼっこをしながらゆっくり食べる。今日は少し寒かったが日向にいると心地よい。その後近くのカフェでコーヒーを飲みながら過ごす。Sandrineさんは何をしている人なのかと聞くとアーティストだという。模写はもう数え切れないほどやっているらしく、オリジナル作品も描いていて、ロンドン、パリなどで個展をしているらしい。ここにきて、何人かアーティストという人たちにあったが、皆いったいどうやって生活しているのだろう、Martin君にしても作品はというとスケッチブックに自画像ばかり描いているようだし、それが直接収入につながるとは思えない。そのあたりの生々しいところを聞いてみたいが聞くだけの語学力がなくて聞けないのが残念だ。

公園で昼食をとり、カフェでくつろいで気付くとすでに3時を回っていた。このゆったりとしたフランスの時間の流れが身についてしまったら日本に帰ってどうなってしまうことやら。

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