二日目の仕事(カメラのメモリーカード、入れ忘れる。)

昨日に続いてまたも忘れもの。メモリーカードがなければ写真は撮れない。なので今日の画像はなし。いずれにしても昨日の絵の具が完全に乾いてなかったので、今日は大した仕事はできなかった。顔やターバンの明部を中心に絵の具をのせた。

 今日は午後、ボザールに行った。前々からKay君達から水曜と木曜日の午後、ボザールでヌードデッサンをやりにいくから一緒に行かないかと誘われていたのだが、ピンカス教授の授業の事でもいろいろあったのでまた面倒なことになってもなあと思い、断っていた。しかし毎週毎週「大丈夫だよ」「行こうよ」「試してみようよ」と誘われるので、(Kay君達は実はボザール生でもない完全な部外者。)、試しに行ってみるかと思い立ったのだ。午後2時、再びボザールの門をくぐる。ピンカス教授の教室のすぐ近く、扉を開けるとそこにデッサン室はあった。日本のアトリエとはまるで作りが違う。モデルの立つ台を取り囲むように円形の座席が階段状に6段ほど連なっていて、座席の後ろからでもよく見えるようになっている。古代ローマの劇場のようだと言えばわかるだろうか。正面の壁は一面全部、黒板になっている。わきには梯子があり、4メートルほど上に通路が作られそこも黒板。窓は高い天井のちょうどモデルの真上に位置していて、上から注ぐ光がモデルの立体感を強調する。もうひとつの窓は教室の後ろ側にあり、描く学生の画面を明るくするように考えられているようだ。実に合理的な作り。授業が始まる。教授の合図で描き始めるのだが、円形の座席からスケッチブックに描き始める人、前の黒板にチョークで描く人、様々。どうやらやりたい人が勝手に前でやるようだ。黒板で描く場合、モデルに背を向けて描くような格好になる。後ろを見ながら描くのはやりにくそうだが、一旦眼に焼き付けてから描くという訓練にはなりそうだ。全面黒板なので実物大か、それ以上で描くことができる。梯子を上った上からは見下ろすように描くことになるためかなり難しい形になる。モデルは3人。男性一人と女性二人。描きたいモデルを描けばよい。黒板側で描く人がメインになるようで、モデル達は座席側に背を向けたポーズをとる場合が多い。教授がポーズごとに5分とか2分とか1分とか指示するのだが、きちんと時間を計っている感じではなく、だいたいの間でやっているようだ。学生に教えたり、実際手を入れたりしながらかなり長引く場合もある。モデル達は、やはり日本人との骨格の違いか、とても作りがしっかりして見える。ポーズが短めのものが多いこともあるのだろうが、ポーズ自体に非常に動きがあるものが多く、またポーズのバリエーションもかなり多い。簡単に言って、描いていて楽しい。数ポーズ描いたのち、教授の指示で黒板に描いている人達に今描いたデッサンの上に黄色のチョークでいくつかの骨格を入れさせる。それをもとに、教授が裏の部屋から持ってきた骨の模型を示しながら骨格について講義をする。今日は鎖骨と肩甲骨の関係についての話のようだった。学生たちの絵をすべて見て回ったわけではないが、前の黒板でやってる学生の絵を見る限り、かなりしっかり描ける学生が多いように感じた。必ずしもきちんと形が取れているわけではないが、構造的に人体を把握している様子は見て取れる。悔しいが、日本の美大生達よりレベルは高いように感じた。これが全般的にそうなのか、たまたま描ける学生たちばかりを今回見たのかはわからないが。フランスでは、今や具象、または写実的なものはほとんど評価されないと聞いてきた。しかしアカデミックにものを見て描くということが今やヨーロッパでは失われてしまったと考えるのは間違いではないか。すくなくとも、アカデミックなことを教える場である美術大学では今でもしっかりとした基本を教えることを忘れてはいない。…授業が始まったのは2時、途中30分ほどの休憩をはさんで終ったのは6時だ。午前9時から模写を始め、午後6時までデッサン三昧。かなり盛りだくさんな1日になってしまった。うれしかったのは、ピンカスクラスのバカリー君がそこにいたこと。彼はこちらの名前をちゃんと覚えていてくれた。日本の家族は大丈夫かと心配してくれる。

しかしKay君というのはいったいどうなっているのだろう。完全な部外者であるにもかかわらず、授業後、最後まで残って教授と何やら親しげに話していたり、外に出て、カフェにでも入ろうかということになったらいつの間にかモデルさん達まで一緒に来る始末。7時半ころ、店を出て帰ろうとしたら、また今からボザールに戻って別のクロッキー会に出るんだと、Martin君と二人で戻って行った。性格がいいというのか元気がいいというのか、時々模写を休むのはこういう訳かということが少しわかった。たぶん、明日は来ないだろう。

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