ルーブルで焼物

今日は一日ルーブルで過ごす。午前中はいまだ見きれていなかったエジプトの半分とこの前駆け足で通り過ぎたオリエンタルの部門を見る。今回は少し焼き物に絞って見ようと思った。ルーブルで焼き物を見る。などと言うのはあまり来る前にはイメージしていなかったが、実際見てみると、焼き物好きには結構たまらない魅力がある。専門的な知識は全くなしにして(もともとない。)、たんにこれ、1個欲しい。…という視点だけで見てみる。

エジプトの青い釉薬がなんなのかは知らないが、(Egyptian Burue≪エジプト、メソポタミア、ローマ時代の壁画に使われた無機質の人工顔料≫と関係している?)深いきれいな青。描かれた模様も美しい。オリエンタルの焼き物は、たぶん中東あたりなんだろうと思うが、何に使うものかはよくはわからないけれど、形や模様に遊び心があって面白い。

どれも思わず持って帰りたくなるものばかり。日本の作家でこんなの作ってくれる人いないかなあ。もちろん長い年月の中での風化が味として魅力になっていることは確かだと思うが、それだけじゃない造形的な魅力があるように思う。古さを感じない。
一通り見ると、ちょうど、「プジェの中庭」に出た。(半野外の彫刻展示スペース。)目の前に真っ黒なライオンの像、前足で蛇を押さえつけている猛々しい像でとても目立つ作品だ。一息入れようとその場に座り込んで1時間ほど描いてみる。今日もあたりには学生らしい若者たちが授業の一環なのだろうか、あちこちでデッサンをしている。なんとなく後ろでチラチラ見ている感じはしたのだが、描き終わる頃、そのうちの一人が話しかけてきた。それはまあ端正な顔立ちの’王子様’のような若者。「フランス語話せますか?(フランス語で)」「un peu.(ちょっとだけ)」「英語、話せますか?(英語で)」「un peu.(ちょっとだけ)」そんな出だし。周りで様子をうかがっていた仲間達が3人ほど寄ってくる。そのへんは、「赤信号、みんなで渡れば怖くない。」という日本人の行動とあまり変わりはないようだ。どうやら彼らはパリにある美術大学か専門学校か、よくわからないが、(少なくともボザールではないようだ。)で、美術を学んでいる学生達のようだ。まだ1年生なのか、今は基礎的なことをやっていて、いずれ専攻が決まっていくらしい。アニメーションという単語も出てきていたから、どちらかと言うとデザイン系の学生なのか。こちらの学校のやり方がわからないのでよくはわからなかったが。まあ、そんな程度しかわからなかったが、言葉は通じなくても絵はそのままダイレクトに通じるから楽でいい。人との接点を作るのに、自分にとってはこれが一番確実な方法なんだろうな。

今日最後に行く予定はなかったのだがたまたま迷い込んでしまった所。中世、ルネッサンスの工芸部門。工芸部門は豪華絢爛な金ぴかの装飾品をイメージしてしまい、あまり興味が持てなかった。しかしどうやらここも侮れなさそうだ。確かに金ぴかなものもあるのだが、ただその一言では片付けられそうにない。例えば金属とガラスでできたチェス盤。照明のも手伝ってキラキラ輝いているが、決して派手ではない。洗練された形、細部に至る気の遠くなるような作り込み。思わず引き込まれた。まださわり程度にしか見ていないが、また、見るべき場所ができてしまったようだ。ここに来て2ヶ月半、いまだにルーブル美術館を見尽くすにはほど遠いようだ。

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