モンマルトル

昨日はDavid氏が午後の時間を割いてくれて、モンマルトルを案内してくれた。メトロの12号線Abbesses駅で待ち合わせる。この駅はパリでも最も深いところにある駅なのでエレベータで上がるようにとの助言に従ってエレベーターを探す。探すまでもなくみんなそっちに向かうのでただついて行くだけでよかった。エレベーターの入り口自体はどうということはないのだが、乗ってみて驚く。大きなトラックの荷台ほどの特大サイズだ。地上に出た。1時半約束の時間ぴったり。周りを見渡すがDavid氏はまだのようだ。携帯に電話してみる。…と近くから呼び出し音が聞こえる。見るとちょうどDavid氏がこっちに向かってくるところ。とても時間には正確な人のようだ。さっそく歩いて付近を案内してくれる。前日インターネットでモンマルトルについていろいろ検索してみると、結構物騒な話が多く出てきた。パリもモンマルトルやクリニャンクールのような北側はあまり治安が良くないとは聞いていたが、スリの情報、集団のミサンガ売りに囲まれて高値で売り付けられたとか、勝手に似顔を描かれて金を請求された話、いろいろ出てくる。こりゃ大丈夫なのかとちょっと緊張気味で出かけて行ったが実際歩いてみるとそんな雰囲気はほとんど感じなかった。慣れているDavid氏の案内なので、そんな観光客が集中している場所を避けて歩いてくれたこともあるのかもしれない。実際観光客のいる場所はごく限られていて、それ以外の道はいたって静かだった。サクレクール寺院にもケーブルカーのある正面の坂を登るのではなく裏側から登ったのだが、すぐ近くなのに全く観光客の姿も見えなかった。

パリの街にはほとんど起伏がない。唯一の丘といえるのがこのモンマルトル。坂や階段による高低差は風景に変化を与え、パリ中心部とはまた違った顔を見せる。パリ中心部が平地の上に描かれたシンメトリーを基本とした完全に統制された世界だとすれば、モンマルトルは、丘という不規則な形の中で、統制が利かない世界、自然と人為とのはざまで自然発生的に生まれた町並み、もうちょっと言いかえれば作為と不作為の境界から生まれた形とでもいうのだろうか。絵描きが作品を作り出すのと似ている。画家たちがここに集まったというのもよくわかる気がする。

以前ここに来たのは20年以上前の学生の頃だったが、その時は夜だった、広場で絵描きが似顔絵を描いていると聞いてはいても夜なので当然誰もいなかった。さすがに今日は昼間の時間帯、しかも観光日和の暖かな晴天とあって観光客たちでごった返していた。似顔絵描きもいい絵かどうかは別にして、さすがこれで稼いでいるだけあってどれもよく似ていた。サクレクール寺院前の眼下にパリ市内を一望にする広場では野外コンサートのようなものが開かれ、演奏者の歌声に合わせて観客も皆歌っていた。寺院の中には初めて入ったが、外から見る以上に中は広い。明りは主にドームの窓と、壁面のステンドグラスから入ってくる自然光。うす暗い中歩いて行くと通路沿いにあちこちロウソクの灯がともっている。よく見ると新しい蝋燭のの横に2ユーロと書かれている。おそらく来場者たちが2ユーロで買って火をともしていくのだろう。一つの献金の方法といったところか。中心の大きな礼拝堂のほかに、それを取り巻くようにいくつかの礼拝施設、よく映画などで見る神父が懺悔を聞く箱のような部屋。マリヤ像などの前には手すりがあって、そこで祈りをささげる人の姿もあった。全てが巨大で荘厳な空気を感じる中、わきにあるお土産用記念メダル2ユーロの自動販売機だけがちょっと浮いてみえた。

サクレクールを出て、カフェでコーヒーをごちそうになり、ゆっくり丘を下りてちょうど2時間。今日のモンマルトル観光は無事終了。忙しい中わざわざ時間を割いてくれたDavid氏に感謝。そう、最後にバゲットコンクールで優勝したことのあるという駅前のパン屋でバゲットともう一つ、ドライフルーツの入ったずっしり重いパンを買った。大満足。

最後に一つ。こちらで買った白亜を使ってみた。同じものでもそれぞれ場所によって違うものだ。膠もそうだったが…。こちらで買った白亜は日本のものと比べダマが多い。なので塗料にするのに多少手間がかかる。それは大したことではないのだが、色があまり白くはない。クリーム色がかっている。夜に作業をしたので照明の関係でそう見えるのかもしれないが(こちらの照明はたいがい白熱灯)それにしても隣のコピー用紙と比べても明らかに黄ばんだ色。あした乾いた状態を見れば実際の色がわかると思うが、どちらにしても日本とは少し違うようだ。

 

 

 

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