カミーユ コロー

“La carte Louvre professionnels”この手があったか。先日ルーブルのホームページを見ていてここに行き当たった。よくはわからないが、どうやらアーティスト、観光業界の人、教育関係者など、一定の条件に当てはまる人のためのフリーパスのようだ。年間30ユーロというから、3回分の入場料でルーブルへはフリーで入場でき、もちろん券を買わなくてもいいので行列に加わる必要もない、おまけに同伴者もただになり、美術館からの情報も送られてくるようだ。ただちょっと自信がないのでフランス在住の日本の方に見てもらう。どうやらいけそうだ。とりあえず文化庁の証明書とパスポートがあればなんとかなるかと申請してみる。あっさりとうまくいった。これで晴れて自由にルーブルに入ることができる。そう、学生証を見せてて笑われることもないわけだ。ざまあ見やがれ。

先日見損ねたコローの作品を見に行った。実は学生の時来た時も見損ねていたのだが、時代的に微妙なので、ルーブルにあるのかオルセーにあるのかよくわからないまま見逃していたのだ。コローも非常に好きな作家の一人だ。独特な美しい色調と画面の構成力にひかれる。今回初めてここルーブルのコレクションを見て、改めて惚れ直した。ここのコレクションが特にいいのか、とにかく色調の切れのよさは画集ではわからない。

コローの絵を見る限り、下層をかっちり描き込んで透明層を幾重にも重ねるというような、手順を踏んで描かれるタイプの絵ではない。おそらく下地の上にグレーから茶系の暖色系のごく薄いインプリマトウーラ、もしくはウォッシュで色づけされた上に直に色が置かれている。(もちろんその上からグレーズで色がのせられる部分もあるわけだが。)空や建物のハイライト、また人物の明部にはシルバーホワイトをたっぷり含んだ絵の具が塗られ、粘りのあるどっしりとした厚みを持ったマチエールを作っている。しかし、一方風景の大部分は下層の淡い色付けの上にごく薄く、場合によってはまるで水彩のごとく薄い絵具層で描かれている。一部にはこの最初のインプリマトゥーラ(ウォッシュ)の色がそのまま残されていたりもする。使われている色自体は決して彩度の高いものではない。しかしその色彩を輝いたものにしているのは下地の明るさだ。もし暗い下地の上にこのような描き方をしたり、またはここで使われている色を厚塗りで扱ったならば、色はずっと重く、沈んだものになるだろう。それにしてもこの軽やかなグレートーン、なんと美しいことか。これは絵の具の色そのものの問題ではない、その色の扱い方の問題なのだ。

先日ブログで書いた緑の色幅、特に日本にはあまり見られない銀色がかった緑の感じ、今日実物を見て、やっぱりなと思った。写真じゃはっきり出ないが

ちょっと気になったのはモナリザを模したと思われる「真珠の女」。髪の毛の部分にちりめん皺が出ている。油の使いすぎか。でもなぜそんな使い方をしたのだろう。

ついでに、アングルの「浴女」。かなりの亀裂に驚いた。原因は?

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